音楽療法の効果 〜第2報〜 2008年2月7日            

 前回、音楽療法について書いてから、ずいぶんほったらかしになっていました。
で、続きです。
2006年度の武庫川女子大学音楽学部音楽療法コースの学生の卒論は、結局パイロットスタディで終わってしまいました。
その研究で、超音波ドップラーで測定した頚肩背部を栄養する動脈の血流量が、指標となり得そうだということはわかりました。
また、改善しないといけない部分も浮かび上がってきました。
本来なら、このパイロットスタディを基にして、研究を発展させていくのですが、卒論ですので、その1回で完結してしまいます。
このまま終わるのは勿体ないし、残念だなと思っていましたら、2007年度の学生が続きをやるということになり、
2007年の夏前から実験計画の検討に入りました。
今回は、負荷をかけて肩こりモデルをつくることとし、被検者も健康成人で10名としました。
デザインをもう少し厳密にし、右の頚横動脈の血流量を測定して、VASもとることにしました。
9月から3ヵ月かけてデータをとり、1月に入ってデータの解析をしました。
実験のプロトコルや解析の考え方などについて、明治鍼灸大学の福田先生に助言を頂き、
解析には、神戸大学発達科学部サイエンスショップの一橋先生にご協力いただきました。
一橋先生には、実際の解析だけでなく、考え方や手法、解析結果をどう読むかも含め、いろいろ助言をいただきました。
私も2回ほど神戸大学の研究室に顔を出しましたが、学生は2日ほど研究室にこもって作業をしておりました。(泣きが入ってました。)
学生からメールに添付されて送られてくる結果や考察に、コメントをつけて送り返すということを何往復かして、
1月31日の提出期限ぎりぎりに無事提出。
後は、今月予定されている卒論発表での質疑応答を学生がクリアするだけです。

この実験の結果ですが、
肩こりに対して音楽つきの肩こり体操(音楽療法)をしたときと、音楽なしの肩こり体操をしたときを比べると、
どちらも同様に体操直後に血流量が増加するのですが、15分後、30分後と時間が経過するにしたがって、
音楽なしの方は血流量が体操前の程度にもどろうとし、音楽ありの方は30分後までもどらない、という結果がでました。
つまり、音楽療法の方が、音楽なしの体操より、増加した血流量が維持される傾向にあるということです。
筋疲労は、血流の増加によって緩和されるので、
いささか乱暴な言ですが、
音楽療法の方が、肩こりの緩和に有効と言えそうです。

今回の実験でも検討課題はまだまだあるので、
さらにデザインを厳密にし、被検者数を多くすれば、もっと確度の高い結論が得られるのではないかと思っています。


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